TCGカードデザインの作り方・コツ|制作記録#6

saitoが参加した自作TCG研究会の個人的メモからの抜粋です。
自作TCG研究会は山科さん(@Scarecrow00000 )が主催するDiscord会議

今回は山科さんのまとめからの引用がほとんどです。カードデザインの基本についてはなんとなく感覚で分かっていたけど、言葉にしていなかったので文字起こししました。(TOP画はセツナLCGの前身『衝撃の刹那』のデザインメモです)

遊びやすいカードデザイン

ここでいうカードデザインとは効果枠やアイコン、それらがカードのどこに表記されているか、という意味でのデザイン
要するにカード全体の見た目の話
ゲームにおいてその内容物であるカードは遊びやすければそれでよい
問題は遊びにくいことで、これはゲームの楽しさを伝えるのを妨害する
カードデザインのUIを丁寧に仕上げることで、ゲームというUXを楽しんでもらう

「遊びやすい」とは情報が整理されていることだ

研究会では数値やアイコンの配置について語ったが、フォントや装飾の統一もまた情報の整理だと思う
セツナLCGは枠だけ用意してカードをメンバーが別々に作っているので、フォントが揃っていないのだが、言葉遣いすら違うので同じ効果でも違う書き方をしているところが残っている(直します)

1.参照する情報の個数は少ない方が敷居の低いゲームにできる

参照する情報とは、カードのコストや戦闘力、種類というようなゲームのプレイ中に確認しなければならないタイミングが存在する情報のこと
何かを参照する時、情報を3つ以上参照しなければならないゲームは敷居の高いゲームになる
例えば、盤面を使った『スペルカードストライク』や『ディメンションゼロ』は敷居の高いゲームの代表例だと思うが、敷居が高いゲームは競技性の高さや極めることの楽しさがある
これらの作品は「位置」「攻撃力」「タフネス」の3つを参照して戦闘を行う

スペルカードストライク

一方、『デュエルマスターズ』や『ヴァンガード』は戦闘する時に参照するのは「パワー」だけで、『遊戯王』も表示形式で参照するパワーが異なるだけでやはり戦闘では1つの項目だけを参照するようになっている

敷居の高い低いというのは、ゲームのルールを覚える要素の多い少ないと直結していると思う
覚えるルールが少ないほどゲームは遊びやすい

前に『CIFRA』を児童館で遊んでもらった時、7歳の小学生も18歳の大学生も駒を取る基本システムは覚えることがすぐできたが、駒の特殊効果について覚えるのは2回目を遊んでからになっていた

それと、これは話題には上がらなかったが、ゲームのプレイ中に使わない情報はここでいう参照する情報には含まれないと思う
例えば、イラストや多くのTCGに存在するフレーバーなどが挙げられるだろう
『ヴァイスシュバルツ』の白陣営と黒陣営や『ウィクロス』のキーセレクションみたいなデッキ構築の時だけにしか参照しない項目もこれに含まれるはずだ

TCG以外ではこうした参照しない項目はどうなっているかというと、最初からカードの見た目や形を変えるなどしてゲーム中に使うカードとの区別をしている
例えば、『ハートオブクラウン』のプリンセスカードや『イノベーション』の分野制覇カードはカード全体の見た目を変えて、背面デザインもユニークなものに仕上げている
あるいは、『桜降る代に決闘を』や『真空管ドールズコレクション』のタロットサイズのカードはゲーム中に使う一般カードサイズのものと区別されている

イノベーション
桜降る代に決闘を

これらはカードの大きさとか見た目で分かるから、覚えなくてもいいことだ
コンポーネントの形で覚えることを減らすというのが、ゲームデザインにおけるコンポーネントのデザインの基本なのかもしれない

2.カードの表記は左側に揃えるのが流行

これは左から読めるように作ることではなく、カードの左側にアイコンなどを配置した方がいいという話だ

現行のTCGの多くが左側に表記を統一しているので、新規参入するゲームもこれに倣うことでプレイヤーへの負担を減らしている
もっと言えば、表記する項目別に配置は固まりつつある
コストは左上、スタッツは左右下みたいな

ウムルとタウィル』著・OYSTER
手札にした時に見やすいという意見もあったが、人によって手札の持ち方が違うからなんとも言えない
俺はゲームによって手札の持ち方が違う
モンハン持ちとか格ゲーする時のワイン持ちみたいなものだと思うから、手札の持ち方については考えても無駄だと思う

3.カードの項目は使うタイミングでひとまとめにした方が良い

上記の項目別に配置が固まっているということについての話だ
例えばコストは手札から使う時に参照するので、手札から使う時に参照する項目は左上に一纏めにされる
スタッツは戦闘する時に参照するので、左右下に一纏めにされる

Lycee
これがバラバラになっていたら参照するのが面倒くさくなるからダメだ
ゲームによって参照する項目は違うので、そのゲームに合った場所に項目を配置するのが好ましい
もしこれで配置場所に困るくらい項目があるのなら、それは敷居の高いゲームになるだろう

4.参照するタイミングが異なる数値の桁は変えた方が良い

デュエルマスターズのスタッツは4桁だ
これはコストが1桁の数値だから、プレイ中に間違うことをなくすためだと思う
さすがにコストが4桁だとは思わないだろうし

デュエルマスターズ
ちなみにセツナLCGのコストはもちろん刹那(10のマイナス18乗)だ

美しいカードデザイン

今度は遊びやすさとは別に、世界観を見せるためのデザインについて
これは研究会の後、個々のカードへの感想会があり、その中で出た意見だ

1.枠に角がない方が良い

四角をそのまま使うのはよろしくない
フラットデザインという悪しきUIの流行りがあって今はそれなんだけど、カードデザインでフラットデザインを採用するべきではない
フラットデザインは動的なボタン向けのデザインなので、静的コンテンツのカードに付けるのはおかしいわけだ

2.目立つべき項目は装飾する

TCGにおいてスタッツは目立つべきなので、輪郭線を太めに入れるなどして目立たさせた方が良い
むしろ、独立するアイコンを作ってもいいくらいだ
セツナLCG製品版ではパワーが高くなるにつれて、パワーの数値が赤く大きくなるデザインを考えている(子供向けっぽいからなくなるかも)

盤面を使ったゲームなら、盤面を使うことが一目でわかるようにデザインするべきだろう

3.イラストのフレームはあった方が良い

イラストのフレームがないゲームは、カードにイラストを大きく使っていて良いと思うけど、効果枠がイラストの上に来るから効果が読みづらいし、イラストが奥にあるように感じて迫力がない

一方、イラストにフレームがあるゲームは、イラストが小さい代わりに効果枠とイラストが重ならないから、効果が読みやすい
また、フレームを飛び出しているようなイラストが時々あると、一目で特別なカードだと分かるし、迫力がある

俺はそう考えを明かした後、それに関して意見を求めた

これは完全に好みらしい
ただ、効果が読みやすい点は大事だという結論に落ち着いた

また、効果がまったくないカードに関してはフレームなしでも良いという話もあった
例えば『ウィクロス』ではミュシャの装飾パネルみたいに一枚の絵と最低限の数値だけを記しているバージョンのルリグがある

ウィクロス


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