ゲームはアイディアの瞬発力で作れ|制作記録#3

ゲームのメカニズムは一つで良い。
アイディアは形にするところから始まる。

今回はゲーム作りの始め方について。


2013年6月8日のメモから抜粋
Material*1 ミスボド*2での反省

ゲーム作りについて(BAKAFIREさん*3談)

ゲームのシステムを考えるのは一瞬。テストプレイに移して1週間。それでおもしろくなければ、ボツ。

それを何度も繰り返してゲームを作っている。

最初の構想とテストプレイでゲームを固めるまで2ヶ月、そのあと4ヶ月はシステムを詰めて細部について作っていき、6ヶ月はイラストなどの発注に費やし、一作品に1年かける

それ以上かかるゲームは時間が経ちすぎて腐ったり、なにか問題があるということ
ものによっては半年もあるが、よほどの発想がない限り難しい

saitoが残したtellへのメモ

Materialは世の中に出してみよう。

ミスボドで遊んでくれた人は3人くらい。

現状つまらないゲームらしいが、俺はMaterialがおもしろいゲームなのかどうかもわからない…俺はおもしろいとは思うんだけどね…

まあ、売ってみて、売れないなら失敗ということで。次のゲームを作ろう。

あと、今、「俺達は一度の失敗も許されない」みたいな規模のお金を使っているのもよくないっぽい。(大学生には制作費に10万以上をかけるのはおすすめしないそうだ。あとあと喧嘩別れとかいざこざが起きるらしい)

なので、規模をもっと小さくして、なおかつそれでゲームにできるものを思いつくまでアイディア出ししようぜ。

ゲームはアイディアの瞬発力で作れ

ゲームのシステムを考えるのは一瞬だ。

当時の私には意味がまったく分からなかったんだけど、『cifra』*4を作って分かるようになった。

2015年の暮にアイディアが出た『cifra』はアイディアを出してからテストプレイまで1時間もかからなかったし、この時点でだいぶおもしろいゲームだった。

それまでアイディアを出してはボツを2年も繰り返した。

はじめのうちは、アイディアの実現可能性についての距離感が掴めなくて、出たアイディアを片っ端から形にした。

紙に印刷したり、木材を削ったり、音色の違うマラカスを作ったり、剣山で手の甲を刺したりした。


実現可能性(ファジビリティ)はボードゲームにおいて1つだけだ。

形にした時、おもしろい。

おもしろいにはいろいろあるけど、これに関しては自分の感覚を信じていい。saitoはtellと2人で作ってるから2人がおもしろいと感じたものは、おもしろさに自信を持っている。

テストプレイしておもしろければ採用。

実物が出来てるのと頭の中で出来てるのとでは、月とスッポンくらい違う。

注意しなきゃならないのは、アイディアを形にする時に考えすぎないことだ。できるだけ思いついたままのものを作るように心掛ける。もしそれで思いついたものが作れないのなら、きっとそのゲームを作るのは今じゃないのだ。

そうやって作ったゲームの素体は、メカニズムが一つだけでおもしろいものになる。cifraはタテヨコと交互に駒を取るメカニズム一つでおもしろい。


年が明けて2016年、木材を切ってヤスリで磨くなど非効率的な作業をしたのち、β版cifraは完成した。

大学や児童館、海外マンガフェスタなどで遊んでもらい、cifraを知ってもらったあと、2017年の春にゲームマーケットで頒布した。(制作期間は1年3ヶ月。だが、アイディア出しの期間も含めれば2年以上費やしたことになる)

ゲムマでは50個ほど売れて黒字。口コミ効果か、通販もよく売れている。

cifraの利益はセツナLCGに使うので、買ってくれると嬉しい。

》cifraの販売ページを見る(BOOTH)


*1 Material saitoとtellが初めて作ったボードゲーム。黒歴史。
*2 ミスボド 秋山真琴さんが主催するボードゲームオフ会。今は200人以上参加する大規模なオフ会だが、当時は30人くらいだった。
*3 BAKAFIREさん 『惨劇RoopeR』と『桜降る代に決闘を』の作者。ミスボドには『惨劇RoopeR X』の宣伝に来てた。
*4 cifra saitoとtellが2番目に作ったゲーム。ゲームマーケット2017春で50個売って黒字を出し、ゲーム作りに初めて成功した。

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